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平均点

前回の記事を載せた翌日に

「カッシー計算のやつやって!」

新6年生の男子に言われました。早くもやってみたらしく、カッシーのプレイが見たいとのこと。好奇心旺盛なのは良いことですね。



さて、本日の授業の話です。本日は5年Aと5年Bの理科の授業でした。授業のはじめに前回の確認テストをやるのですが、5年上はまだ単元が簡単なので、中々良い点を取ってくれます。

この2クラスは毎回確認テストの点を白板に上から順番に書いていくようにしているのですが、

5年生理科Aクラス(今年からは各教科ごとに習熟度別に分けておりますので、このような書き方になっております。)
10
10
10
10
10
10







このような分布。

5年生理科Bクラス
10
10














このような分布でした。ちなみに数字を縦に書いていくだけで、名前は出しません。名前を読み上げてビリを晒し者にするということはアントレの方針ではありませんから。ただ、こう書かれたら、さすがにビリの生徒も「マズいなこれは」と思ってくれると思います。

先にAで次にBの授業なので、Bの生徒は毎回Aの分布を知っています。Bの上位でやっている生徒はAの下位には負けていないと思っているようです。実際に得点を見るとそうですね。

今回は珍しく得点が競っていたので、Bの生徒はご満悦。そこでBの生徒の誰かが言いました。

生「平均点勝ってるんじゃない?」

カ「うーん、ちょっと待ってね…計算してみよう。うん、さすがにそれはムリだったかな」

私が即答したことに生徒は納得がいかなかったようで、自分で計算をしていました。こういう姿勢って個人的にすごく大事だと思うんですよね。

すぐにAが9点、Bが8.6点と白板にメモし、しばらくして生徒も計算が終わりました。

カ「やっぱりこれであってたでしょ?」

生「うん…」

カ「あ、ちなみに計算はどうやった?やっぱり足してから人数で割ったのかな?」

生「うん、そうだけど」

カ「それが平均の基本だよね。よし、今からちょっと良い方法を教えてあげるから一緒に考えてみようか」

理科の授業中ですが、算数に脱線してしまいました!

カ「まず、この得点分布を見た時に、大体9点位が平均だなという感覚を持ってほしい。そうしたら、9点を基準にして、どれだけ離れているのかを追っていくだけで、実は平均点が出せるんだよ」

生「???」

この説明でわからないのも無理はありません。彼らは新5年生と言えども、実際にはまだ小学4年生です。

カ「よし、じゃあ実際にやってみよう。Aクラスで6人10点がいるね。この6人を仮に9点だったとしよう。実際には10点なんだけど、何点プラスになってるかな?」

生「1点?」

カ「うん、1つだけで見るとそうだね(本当は6点って言って欲しかったけど…)。人数を考えると合計はどう?」

生「6点!」

カ「OK。6点分プラスだ。じゃあ次に8点2人と7点2人を見てみよう。ここは人数も少ないしもう一気にやってしまおう。同じ考えでいくと、全員9点だったとしたとき、合計で何点分マイナスになっているかな?」

生「えっと、6点マイナス」

カ「お、えらい。8点の人たちで2点分、7点の人たちで4点分の合わせて6点分マイナス。ということは、さっきの6点分のプラスと合わせるとどうなる?」

生「あっ、消える」

カ「じゃあ、平均9点じゃん」

生「あ、なるほど、すげー!」

カ「まあ今回はたまたま消えたから9点になったけど、同じようにBも見てみようよ。ラッキーなことにBは9点がたくさんいるから計算は楽だよ」

生「ちょっとまって…、えっと+2と-8だから、-6点!」

カ「うん、この段階で負けが決まったね。惜しかった!じゃあ実際の平均を計算してみよう。Bは何人いる?」

生「15人」

カ「じゃあ6点を15人で割れば、平均点のズレを計算できるよね。15分の6=5分の2で0.4点か。9-0.4=8.6点ってやれば、合計を出さなくても平均の計算ができるよ。今回のAのようにたまたま良い数字になったときなんかは強力な武器になるってことを覚えておいた方が良いね!」

生「すげー!ヤバいなこれ。マジすげー!(主に語彙が貧困な男子)」



別段大したこない、誰でもやる平均の計算法ですが、残念ながら予習シリーズ等のような参考書には書いてありません。面積図のイメージがしっかりあり、なおかつ賢い子でしたら、自分で発見することも可能です。

今回はたまたま平均点の話が出たので、この話をしましたが、ちょくちょく授業中に似たような話をします。彼らは早い段階から教えてもそれをしっかり理解する能力があるので、こういうことはどんどん教えてあげたいです。

私はこれを単に計算テクニックとして教えているわけではありませんし、こうやるとはやくて便利だよという意味で教えたいわけでもありません。大事なことは、この考え方を知ったことで、平均というものに対する考え方やアプローチの仕方が変化した可能性があるということです。それは思考力が必要な問題になったときに、必ず大きな力になります。

算数でよく「ひらめき」という言葉が出ます。解く時に「ひらめいた!」と言う生徒もいますが、それは本当の意味でのひらめきではなく往々にして頭の奥底にインプットされていたものがうまくアウトプットできただけであることが多いです。上記のようにものの見方を複数インプットしてあげることによって、彼らの言うひらめき(仮)というアウトプットが成功する確率を上げることが出来ると思っています。

もちろん能力によってインプット自体が難しい生徒(例えば上記でのやりとりが全く理解できない生徒)もいれば、逆に選択肢が多くあるがゆえにどれを使ったら良いか混乱してしまうという生徒もいると思います。

前者に対しては説明することにほぼ意味がありませんが、後者は個人的には「それが何か問題なの?」と思っています。確かに直近のテストなんかで問われたら、余計なことを教えずにやり方を1つに絞ってそれをひたすら反復するというのが、得点を取るという観点において正しいやり方かもしれません。しかし、入試までに1つの器が満ちることが確定しているのならば、早いうちにもう1つの器を用意することが、自らの可能性を広げていくことに役立つのではないかと思います。

両方の器が半分ずつしか満ちていないため、正確にアウトプットできずに月例テストで得点を落とそうが、それをしっかり復習してできるようにすればいいだけの話で、私としてはどうでもいいことだと思っております。それよりも1つの器が満ちた瞬間にもう1つの器がない方がよっぽど問題だと思います。

今回の例で言いますと、受験生のほぼ100%が「得点の合計を人数で割ることで平均点が出る」ということを入試までに身に付けます。どんなに効率の悪い指導をしようが、わかりづらい説明をしようが、このレベルの内容でしたら受験までと言わずとも5年生の段階で勝手に身に付きます。

つまり、いつか近いうちに必ず身につくことは確定しているのに、ある短い期間だけ混乱するからという理由だけで教えないのはどうなんだろうかと私は思います。ただこれはあくまでも指導の方針にかかわるところなので、私が正しいとか間違っているとかはないと思います。私はそういう指導方針だということだけです。短期的な視点を大事にしている人とはもしかしたら合わないかもしれません。

私が複数のアプローチの仕方を話す時は、「器に同時に水を入れていっても、少なくとも片一方は確実に入試までに満ちるかどうか」を判断基準にしております。ですからクラスによって話す内容に差が出るのです。本当は入試までという限定ではなく、もっと先まで広げたいのですが、中学受験専門塾という以上、習得のリミットを6年の1月2月に設定するのは仕方のないことかと思っております。

最後に一例を挙げます。5年の後期にニュートン算という単元が出てきます。これは基本問題なら全く問題ないのですが、中級レベルの問題になってくると、真ん中のクラスの生徒の場合、単元自体が難しく中々身につきません。定期的に登場してきて、6年秋頃になってようやく身についてくるというのが毎年の流れです。

ニュートン算は大きく分けて2つの解き方があります。「消去算」か「速さと比」で解く方法です。真ん中レベルのクラスですと、この消去算だけを最後までやりこませます。何故なら2つの器を用意しても片方が満ちてくれない可能性が高いからです。速さと比の話は出しません。しかし最上位のクラスですと速さと比を初めて習った5年後期の段階から、必ず別解でつけます(私自身は速さと比で解きます)。何故なら「減りながら増える」というイメージ(ニュートン算の核となる考え方)を比で感じて欲しいからです。そしてそのイメージはニュートン算に限らず、必ず他の問題で生きてきます。

算数の解説をする時は、ただ解説するだけではなく、このあたりのことも大事にしながらやっています。



ところで、ここまで書いて気づいたのですが、理科Aのクラスでは平均の話をしていません。うーんバレたら怒られそうですね。まあ、彼らは賢いので勝手にどこかで自分で発見してくれるでしょう!

自分で発見したことって一生忘れませんよね。それこそが、本当の「ひらめき」なのだと思います。

テーマ : 中学受験
ジャンル : 学校・教育

プロフィール

カッシー

Author:カッシー
首都圏の中学受験専門塾で教室長をやっております。
中学受験情報、塾内での出来事、雑談等を記事にしていきます。
mail:kassy@sk-antore.com
HP:カッシーが教えている塾
Twitter:@kassy_ant

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