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その子の資質を理解する

前回の記事で5割という話を出しました。

しかし、こう言っては何ですが、5割に届かなかった場合も実はそこまで焦ることはありません。

1回やっただけで身につけてしまう生徒もいれば、4回5回やってようやく身につく生徒もいます。

今のカリキュラムはその4回5回がくり返せる仕組みになっております。5年下でひとまずカリキュラムが終了しますので、新6年生は現在2回目、3回目の地点です。これから夏期講習、後期授業等でまたくり返していきます。

1回で身につく生徒(実際にはくり返し頑張っているのですが)が多く在籍するクラスは、やっていくにつれて難易度も一緒に上げていきます。難関校の算数は他校の算数とレベルがまるで違うからです。

一方で中間や下位クラスの難易度の上げ方は6年からはかなりゆるくなります。何故なら、5年下のシリーズ自体の難易度がすでにそれなりに高いので、学校にもよりますが四谷偏差値60以下でしたら、難易度を上げていく必要がほとんどないからです。

そういった学校でも難しい問題が出ることはあります。しかし、実際にはそういった問題は正答率が5%以下の捨て問ですので、他教科の実力が十分にあり、なおかつTOP合格を狙っているのでなければ全く必要ありません。それよりむしろ算数の難易度をある程度までで抑えて、4科の合計点をまとめる方向に進んだ方が合格の近道になります。


私もこの仕事が8年目になり、その間多くの保護者と面談をし、生徒の相談に乗ってきましたが、受験で大事なことの1つに、親がその子の資質を理解することが挙げられると思います。

4、5回くり返さないと身につかないのに1回で身につく生徒と同じ期待をかけることほど、残酷なことはありません。

「何でこの間やったばかりなのに出来ないのか」

親の怒りと焦り、親の期待に答えられない本人の落胆と自信喪失。これをテストの度にくり返していきます。本当はできなくても本人の中でゆっくり何かが進んでいるはずなのですが、それは目に見える形では現れません。

中学受験を考えるほとんどご家庭は学校の勉強では常に満点を取っていると思います。できる子もそこそこできる子もみんな同じ最高評価です。しかし、小4あたりから受験のために塾へ通い始めると、そこそこできる子は中学受験をする集団の中ではできない子にかわります。

このギャップが非常にやっかいなのです。

4年生から教えていると良くわかります。入塾当初はものすごく積極的で、知っていることは何でも我先に言いたい子ばかりです。「自分は勉強が得意なんだ」というのを精一杯アピールしてきます。

しかし、しばらくすると得意だと思っている子達の間でもかなりの差があることに気づきます。中学受験のカリキュラムは残酷なのです。そういう子達を選別できるギリギリラインの単元と問題を出していくシステムになっています。

入塾当初は得意満面の生徒も1年経てばずいぶん変わります。その理由が自分よりできる生徒達の存在なのか、難しく理解できない単元のせいかはその子によるでしょう。

こういうことが本当に良いことなのかはわかりません。井の中の蛙でいいから、勘違いでも常に自信を持っている方が良いのか、それとも早めに大海に出て自分を知る方がいいのか…。

数年前にこういうことがありました。

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アントレに通っているA君が同じ学校の友達のB君の話をしてくれました。

A「○○小の友達のB君がアントレ入るって!」

カ「友達増えてよかったねー」

A「うん、B君すごい勉強できるんだよ!僕よりできるんだ」

カ「お、それは楽しみにしておこう」

B君は初めてなので、一番基本的な内容をやるクラスで体験をしました。しかし、ほぼ○をあげられず。ただ、体験の時は勝手がわかりませんし、緊張することもあるので、できる子でもよくあることです。

私はまずは体験したクラスでのスタートがちょうど良いと思っていたのですが、「一番下は本人がやる気をなくす」というお母様の希望でその1つ上のクラスからスタートすることになりました。

B君を少し見てわかったことは、四則演算が速いということでした。しかし、それしか武器がなかったのです。基本中の基本なら即解いてしまうのですが、中学受験レベルでのそこそこの基本問題になりますとまるで解けません。自分の知っている範囲の問題を超えた途端に思考が停止してしまっております。粘るつもりすらなさそうな気配です。

すっかり自信を失っており、出される問題は解けるものと思っておりませんので、全く手が動かなくなってしまいました。この様子をお母様に伝え、まずはクラスを1つ下げて問題レベルを落とし、出された問題も粘ったりヒントを生かせば解けるものだという感覚をつけ、達成度を上げた後に戻ってくるのはどうでしょうと提案したのですが、聞き入れてもらえませんでした。

ちなみにA君は一番上のクラスでした。A君はある日、B君に学校で呼び出されこう言われたようです。

B「僕が同じ塾に通っていることを学校では言わないようにして」

B君はお母様にそう言いなさいと言われたようです。A君は私に相談してきました。私も何とも言えない気持ちになりました。B君のお母様はB君は出来ると思っていたのに、一番下のクラスを勧められ、しかも下だと思っていた友人のA君(確かに計算はあまり速くありませんでした)が一番上のクラスでやっているという事実が受け入れられなかったのかもしれません。

結局B君は1年経たずに辞めてしまいました。アントレは途中で辞める生徒がそう多くないので、辞めた生徒のことは良く覚えております。退会が起こるとその度ごとに何故そうなったのかを分析し反省をするのですが、どうすれば正解だったのかが難しいケースでもありました。

そういえば志望校はかなりの難関校でしたが、受験はしたのかはわかりません。

おそらく親が本人の資質を理解して、その子にあったことをやらせ、自信と粘り強さを養い、くり返し基本を反復(幸い計算は速かったので、時間の効率は良いはずです)させてあげていたら、一番下のクラスからその後1つクラスを上げ、その中で真ん中くらいの力をつけて、四谷偏差値50半ば位の学校はいけたように思います。

でも、ダメなんでしょうそれでは。きっと納得できないんでしょう。

本人はどう思っていたんでしょう。あまり感情を表に出すタイプではなく、結局B君の主張らしい主張を1度も聞いたことがありませんでした。

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期待をかけることは大事なことですが、期待の質によってそれがエネルギー源になるのか、重荷になるのかが変わってきます。本当に本人の資質を理解して適切な期待をかけてあげられるのならば、ダメだった時にまだ積み上げている最中であることがわかるので、

「次は頑張ろう!」

という言葉が自然と心の底から出てくるはずです(もちろんやり方を改善していく姿勢も忘れてはいけません)。中々難しいですけれども…ある意味達観していないと持てない感情だと思います。私は指導員という立場なので冷静に見られる部分もあるのですが、親子ではそうはいかないですからね。


「彼を知り己を知れば百戦殆からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し」


兵法家である孫子の言葉です。私自身小学生の時によく暗唱させられたので、今でも覚えています。「彼を知る」ことだけ頑張る受験生にも知っておいて欲しい言葉の1つでもあります。


「受験戦争」


とはよく言ったものです。


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