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成績を伸ばすって何だろう?

この仕事を始めてそこそこ経ちますが、今だに良くわからないことがあります。

成績を伸ばすってなに?

本当にこの仕事をしているのか、疑問に思われる発言ですが、良くわからないものはわからないので仕方がありません。

「○○中へ合格させた!」
「偏差値40を60にした!」

宣伝等でよく見かけますが、こういうのにものすごく違和感を覚えるんですよね。



【とある生徒が塾に入った例】
勉強を今まで全くやってこなかった生徒が模試を受けて偏差値40でした。これはいけないと思って勉強やる気になって塾を考え始め、ある塾に入りました。半年後、偏差値60に到達しました。その塾が「偏差値40を60にしてやったぞ!」と声高に宣伝しました。

このケースですが、まず私が思うに、今まで何もやっていなかった生徒が勉強やらなくっちゃって思い、しっかり勉強時間を確保するぞと思った段階で、どんな手段(参考書を買って家で勉強等)を取ろうが偏差値50以上は約束されているんじゃないですかね。

まあそれはわからないことなので、もしかしたらそのままじゃ40のままで変わらず、本当に塾が20伸ばしたのかもしれません。

重要なのは、「わからない」ということです。

となると、逆に家だけで勉強した場合に65まで上がった可能性も考えられるわけです。さらに言うとその塾じゃなくて、他塾だった場合70まで上がっていたかもしれません。

私は良く考えます。「この子アントレじゃなかったらどうなっていたんだろう」と。もしかしたら大量の宿題をガンガンやらせるところがあっていて、そこだったらもっと今より良かったのかもしれません。逆にアントレのように1問じっくり型がマッチしていたおかげでここまで力がついたのかもしれず、他塾だったらひどいことになっていたかもしれません。



【生徒が転塾した例】
転塾して成績が上がったという人もいます。例えば4年の時にA塾にいて、5年からB塾に入ったら成績が上がったという例です。これって、5年になって内容が難しくなり、周りが苦労しはじめたところ、自分は4年と変わらないペースでできたので、相対的に偏差値が上がったという可能性もあります。

変わらないペースでできたのってB塾のおかげでしょうか。それともA塾で着実に積み上げてきたものが利いているからでしょうか。さあ、どっちでしょう。ほとんどの人は自分が転塾した側の立場でしたら「B塾のおかげだ」と思うでしょう。A塾では4年の時には花開きませんでしたが、もしかしたら力を蓄えたおかげで塾を変えなくても5年になって開いていたかもしれません。

これもわかりませんね。



【同じ生徒(クラス)の教科別の例】
あるクラスの理科をA先生が担当しました。そのクラスの理科の偏差値は他の3科目より優れています。

「いやー、さすがA先生だ」

これはA先生がすごいんでしょうか。この先生は「理科の成績を伸ばせる優秀な先生」として認められました。この論理でいきますと、1/4の確率で優秀な先生が誕生します。たまたま、4科の中で理科が元々得意という子が数人いただけかもしれません。というかB先生ならもっと良い成績が出ていたかも。

ちなみに私がA先生の立場だったら

「たまたま理科の資質がある子が集まったんだな」

って思って終わりです。


【対照実験不可能な事象に対してどう考えるか】
ラーメン屋なんかいいですよね。単純にどちらがおいしいか食べ比べればすぐにわかりますから。純粋に味とコスパで評価してもらえます。

塾の場合は、指導が優れていることを証明したいのであれば、同じ人間を2つに分裂させて、片一方はこっち、もう片一方はこっちっていうのを何千、何万人とやって学力推移と結果を比べないと無理だと思うんですよね。

しかしそれは残念ながら不可能です。

だからこそ、この業界は危険なんです。胸を張って正しいと言えることが少なすぎるから、簡単に情報に振り回されますし、他人の出した実績が一番の判断基準として簡単に採用されてしまいます。

1度入ったら転塾はリスクが高いと言われ(まあ実際そうなのですが…)、入った塾が卒業する塾である家庭がほとんどにもかかわらず、入塾を決めたきっかけは「広告や実績を見て良さそうだったから」が一定数いる現状。そりゃ新聞の折り込み広告があれだけ大量に入っているわけです。比較が不可能な「質」ではなく、そっちに資本を投入する方がよっぽど効率が良いからです。


【自分が経営者ならこうする】
もし私が経営者で「教育」をする気が毛頭無い人間でしたら、以下のように塾を運営します。

まず授業の質を上げる努力はしません。比較しにくいところに人的資源と資本を投入するのは無駄でしかありません。元気な学生を安く使って集団授業をさせます。元気があって若い方が子供も喜びますし。

自塾にかかわったことがあり、なおかつ偏差値が高そうな生徒には入試数ヶ月前の6年の秋に電話攻勢をかけます。決まり文句は「何かお困りのことはありませんか?」です。この時期に困ったことがない受験生等おりませんので、適度に不安を煽ることが大事です。

勧誘に難航しそうなら「無料で個別で志望校対策をします!」と言い、少しでもかかわらせて実績に計上します。実際に個別を担当する指導員には「○○長」等の肩書きをつけ(給料は変えません)、有りがたみを出します。このように自塾の実績ロスは他塾の生徒で確保します。

社員の昇進やボーナスの査定は全て「他塾生をどれだけ実績に計上できたか」で決めます。授業準備に時間を使うなどもってのほかです。自分から進んで電話がけをするように仕向けます。

そして、しっかり実績を出したら(作ったら)、派手に広告を打ちます。いかにも伸びているぞ!といったような雰囲気を出すのがポイントです。遠近法を使ったグラフはオススメですね。ここの広告にはお金を惜しみません。

平均年齢は若く保ち、優秀な人間は社員にしません。無駄に実力をつけ、勘違いして独立などされたら損害が出ますから。また、給料の上昇をある程度で止め、年齢の高い(コストの高い)社員を…


そろそろ止めておきますね!
※怖い人が来るといけないので


結局何が言いたいのかというと、自分が見て分かるものや確実なもので判断をし、よくわからない曖昧なものでは判断しない方が良いということです。


【確実なものとはどういうものか。塾選びに関して】
例えばアントレは予習が必須です。目的意識を持って授業に臨むことで、受身ではなく積極性を持って勉強ができる人間になって欲しいという明確な方針があります。

これは質がどうとか以前に、システムがそうなっているというのは誰の目から見てもわかるので、確実なことです。他塾との比較もしやすい点でしょう。これに賛同できれば候補の1つとして考えて欲しいですし、ウチは違うというのならば初めから選ばない方がいいです。

月謝もそうです。ただ、大手塾は細かいオプション講座等色々ありますので、設置される特別講座(季節講習等)を含めて年間でどの位かかるのかは聞いておいたほうがいいです。

あとは教室の雰囲気や指導員と話をした時に感じたことです。この人達に大切な我が子を預けて大丈夫なのか、親は指導員と話をすることで、子供は体験授業を受けることで感じるはずです。そこで感じた気持ちは確実なものです。

合格したしない、偏差値が上がった下がった、伸ばしてくれる良い先生なのかどうかに関しては、対照実験ができないことから原因を確実に特定するのは不可能です。ましてや他人のことならなおさらです。その他人のデータを1番の判断材料にするのですから皮肉なものです。百歩譲って塾のおかげでとある生徒の偏差値が上がったことが確実であったとしても、塾が同じように自分の子供も伸ばしてくれるとは限りません。


【最後に】
私自身はもちろん、自分が教える解法の質の良さ、選択肢の豊富さ、指導の仕方等に自信を持っておりますが、それが全ての生徒に対して最高のものであるとも思っておりませんし、そうなるようにまだまだ工夫して磨いていけるところもあると思っております。また、生徒を第一志望の○○中に入れてやりたい!という誰にも負けない気持ちも持っています。

しかし実際には、生徒が自分の授業を良く聞いて、それを信じて勉強をしたから勝手に伸びたのであって、自分が伸ばしてやったという感覚はまるでありません。もっとも方向性がおかしすぎて、指導に指導を重ね正しい方向に持っていったという生徒も少なからずおりますが、そういう生徒に対しても、方向性を直しただけであって、伸ばしたというのは何か違う気がするんですよね。

去年こんな小さい教室から筑駒に合格した生徒が2名おりました。私は5年、6年と続けて算数と理科を指導しましたが、彼らの吸収する力はズバ抜けていました。彼らは私が解説する色んな解法を勝手に吸収して勝手に合格しました。

もし、私の力がすごかったのならば、彼らの他に授業を聞いていた子達全てに筑駒のチャンスがあったはずです。しかし、実際にチャンスがあったのは彼らだけでした。完全に彼らの能力が高かったからです。

それでも「カッシーのおかげで」という言葉を言ってくれました。余談ですが、1人はアントレ最終日の帰り道、泣きながら帰宅したようです(ご両親からの後日談)。頭脳だけでなく、人間味あふれる良い子達です。



お母さんが子供に毎日3食のおいしいごはんを作ったことで、

「私がこの子の背を伸ばした」

と言いますでしょうか。作ったから伸びたのではなく、本人がそれを食べて消化したから勝手に伸びただけだと思うんです。このあたりは多分感じ方の違いなんだと思います。私はこういう感じ方をしてしまうので、冒頭のような宣伝文句を見ると、違和感を覚えるのです。

それでも

「我々に任せて下さい。偏差値を○○以上伸ばして、必ず○○中へ合格させますよ!」

と言ってくれた方が、親としても元気づけられて気持ちが楽になるのかもしれませんね。しばらくのうちは、ですが。


自分の指導に自信があれば言えるんだろうか。


私はまだその領域に達していないんだろうか。


どちらも違うと信じておりますが、決め付けることなくその可能性も頭の片隅に置いておこうと思います。


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Author:カッシー
首都圏の中学受験専門塾で教室長をやっております。
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