算数の問題でヒントを出す

算数の授業中にヒントを出すことがあります。

ヒントを出してそれに反応できるかできないかはとても重要です。

重要である理由の1つとして、難関校の多くは問題の構成がシンプルではなく、1つの大問が3つ以上の小問で構成されることが多いからというのが挙げられます。

(1)が(2)のヒントになっており、(2)が(3)のヒントになっております。

最近では難関校以外でもこのような構成にする学校も多いです。

会話形式で誘導するような学校もあります。

問題自体のレベルはとても高いけれども、丁寧に誘導してあるので結果的に解けるわけです。


ですから、算数のクラス分けの基準の1つにヒントに反応できるかどうかがあります。

たとえテストの点数が低かろうが、〇の数が少なかろうが、ヒントをしっかりキャッチして活かせるならば、授業についてきているということです。

そういった生徒は後々良くなる可能性が高いのでクラスを下げたりしません。


さて、ヒントの出し方をいくつか挙げてみます。


【開幕からヒントを出す】
相当難易度の高い問題の場合、稀にこのタイミングになります。

予習シリーズにも載っておらず難易度が高いからというのが理由ですが、難易度の高さの質が「考えればできる」というタイプではなく、「解き方を知っているか」に大きく依存するような場合です。

初手の方向性をヒントでしっかり示しているにも関わらず、言っている意味が理解できずにフリーズしてしまったり、意味不明なことをやっていると「ヒントに反応できていない」ということになります。

このような状態がずっと続いてしまうと、厳しいですが1つ下のクラスへ案内することもあります。


また、上記の他にも所属クラスのレベルより難易度が高い問題を出した時もこのタイミングになります。

開幕にヒントを出してしまえば難易度が1段階下がり、所属クラスに最適な問題レベルまで下げることができます。



【途中でヒントを出す】
初手や方針は決まりやすい問題だが、その後の処理仕方が曖昧だったり、多くの生徒が考え違いをしている場合には途中でヒントを出します。

例えば、速さの問題でダイヤグラムを書くというところまでは出来たけれども、ダイヤグラムのどこに注目すれば良いのかがわからず先に進まないというような時です。

この時、元々ダイヤグラムすら書いてない生徒もおります。

そういった場合、大半は慌ててダイヤグラムを書くのですが、それすらも書かずにフリーズする生徒がおります。

こういった生徒は集団授業だけでは中々伸びていかないことが多いです。

集団授業の仕組みに乗っかっていけてないわけですから、個別指導等をつけて対応する必要があります。



【個々の生徒にヒントを出す】
生徒それぞれにヒントをあげることもします。

そういえば、以前生徒とこんな会話をしたことがあります。


「カッシーできる子にだけヒントを教えてない?ズルいよー」

「え、そうだよ。バレた?」

「ひいきだー!」

「そうだね!」

「…」




ひどい人間ですね


このままでは色々とマズいので、個々の生徒にヒントを与える基準を書きます。

カッシーの場合、初手や方針がめちゃくちゃな時はそのまま何も言わずに返却することが多いです。

これはクラスによって少し違っていて、例えばSクラスの場合、予習シリーズの例題に載っているようなレベルの問題で方針がめちゃくちゃならば確実に無言返却です。

厳しいですが、そのレベルすら仕上げてきていないならばそういう扱いをされます。

上位の生徒はそうやって少し突き放し、次回以降の予習の質を上げるように促します。


初手や方針が合っている時は「方針は合っているけれども処理が雑だよ」と教えてあげます。

具体的にどこが間違えているかは自分で気づいて欲しいので教えません。(たまに教えますが)

レベルの低いミス(単純な計算ミスや転記ミス)は大体教えてあげます。

そういうわけで、できる生徒が手を挙げて間違えていた場合、大体方針は合っていることが多いため、ほぼ何らかのヒントをあげることになります。



最後に、ヒントを活かせるかどうかは「単元の基礎を理解していること」「話を良く聴くこと」が大事です。

どちらが欠けても先へは進めません。

特に後者はこれからの伸びに大きく依存するので、授業中の姿勢をとても大事にして下さい。



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設問の意図を理解できない生徒達2

続きです。


さて、何かを学ぶ時には、「聴く」「読む」「触る」等、基本的に五感を使うことが多いですよね。

この中で、受験生が最も多く使用するものと言えば、おそらく「読む」になります。

教科書や参考書を読むだけではなく、実際に問題を解く時にもまずは問題を読まないと始まりません。

試験中は誰も音読してくれませんし、書いてある言葉の意味も説明してくれません。(難しい言葉が出たら註がつきますが、その註も読んで理解しなければいけません)

つまり、「読む」ということは非常に重要なわけです。



子供が家で勉強している時に、テキストやノートを読んで勉強している姿を見たとします。


「しっかり勉強頑張っているね」


と思うわけですが、読んでいる内容を本当に理解しているかどうかは誰にもわかりません。(本人でさえも)


もし、読んでいる内容が理解できていないとすると、本人は書いてある文字をただ目で追っているだけで、ほとんど成長していません。

理解できていないだけならまだしも、自分の好きなように勝手に解釈して理解したふりをしているとなると、さらに修正するのが大変になります。(この作業も1つの勉強とも言えますが…)


「これだけ勉強しているのに…なんでできないの…」


と嘆く保護者も多いとは思いますが、おそらく読んだ量に対して理解できている内容が少ないからというのは最も多い原因の1つでしょう。


最近、こんな本を読みました。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち


全体的に楽しく読めた本でしたが、人によっては1、2章は興味が持てないかもしれません。

教育関係者や保護者の方には3章だけで良いので読んでみて欲しいです。

3章の中にこんな問題がありました。


「Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。」

Alexandraの愛称は(   )である。

①Alex  ②Alexander  ③男性  ④女性



「」内の一文を読んで、その内容に合うように答えるだけです。

ちなみにこの文章は中学の英語の教科書に出てくる「Alex」という単語の註に書いてある文をそのまま使ったようです。

当然正解は①なのですが(本文にそう書いてあるので)、とある公立中学(本には学校名も記載)に通う一年生の結果は以下のようになったようです。

①23%  ②12%  ③16%  ④49%


全員がでたらめに選んでも25%になるはずですが、それを下回っている時点でかなり大変な事態と言えます。

4択という特性上、実際には23%よりもっと低い割合の生徒しかこの一文の意味が理解できていなかったわけです。


なぜ半数の生徒が④を選んだのかというのを、この本では「愛称」という単語の意味を知らないことが原因と予想していました。

知らない単語は飛ばして読むという読みの習性がある生徒は()内に「女性」と入れれば


Alexandraは女性である。


となり意味が通るからだそうです。


なるほど…確かに。



国語の先生達も、おそらくそういう風に分析するのでしょうね。


しかし、カッシーの意見は違います。


「Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。」


この文章は読点で3つに区切られておりますが、二番目の節には「女性」「Alexandra」「愛称」の3つの単語が並んでいます。

そこで設問を見てみましょう。


Alexandraの愛称は(   )である。


「Alexandra」「愛称」の2つの単語があります。

あれ、あと1つ足りませんね。





「女性」を入れればしっくりくるなぁ


おそらく、こうじゃないかと思うんです。


「愛称」という単語を知らないからという語彙力不足の問題ではなく、助詞を追いかけていく体力が無いことが原因だと考えます。

詳しく述べると、「愛称」という単語を飛ばして読めば答えが意味の通る文になるからではなく、本文の「助詞」を飛ばして単語だけを追いかけて読んでしまったため、「Alexは」という主語が二番目の節の先頭から省略されていることなど気にも留めなかったから間違えたのです。

賭けても良いですが、意味をそのままにしてこの文章を以下のように書き換えたら、正答率は相当上がるはずです。


「Alexは女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもあり、男性にも女性にも使われる名前である」

Alexandraの愛称は(   )である。

①Alex  ②Alexander  ③男性  ④女性



そもそも、どうしてこのような単語読みを始めてしまったのでしょうか。

それはもしかしたら「『愛称』という単語を知らなかったこと」がトリガーになって丁寧に読む気力を無くしてしまったからかもしれませんし、それ以前にそのような読み方しか元々出来ない子だったからかもしれません。

いずれにせよ、悲しい現実です。

何か対処法はあるのでしょうか?


この問題ですが、実は高校2年生になると正答率が68%まで上がります。

これを「上がって良かった」と喜ぶのか、「高2で32%も間違えるのか」と悲しむのかはとりあえず置いておくとして、原因は何であれ、月日が経てばなぜか読めるようになっているわけです。

もし、読解力について相談をされたら


「今は読めなくても、大人になれば読めますから心配しなくて大丈夫です。ちゃんと立派な大人になれますよ。」


とニッコリ微笑めば全て解決


しませんね!


どうにかして期限(受験)までに読めるようにしたいわけです。

それどころか勉強効率を上げるためにはもっともっと前(できれば今すぐ)に読めるようにしたいわけです。

実際にはそれができたらみんな苦労しないわけでして、この本にも「どのようにしたら読めるようになるのか」が書いてありませんし、まだわからないと書いてあります。



しかし、教育関係者や親はこのような現実を理解しなければいけないと思います。

大人が思っている以上に子供は読めていないのです。

読めていないことを本人が自覚するのはとても難しく(④を選んだ生徒はきっと自信があったはずです)、1人では中々気づけません。

問題形式になっていれば気づきやすいのですが、どこがどう不正解だったのかを今度は「解説を読む」ことで理解しなければいけません。

読めないから出来ていないのに、「これを読め」と言って解決法を提示するわけですね。

そうなると本人だけでは到底無理なので、当然親のサポートが必要になってきます。

サポートの仕方はそれぞれご家庭の環境が違いますし、子供の性格や読解力にも差があるため、一概には言えません。

そんな時のために我々指導員がおりますので、いつでも相談に来てください。



長くなりましたが、これで終わります。



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設問の意図を理解できない生徒達

5月、6月あたりは塾対象の学校説明会シーズンです。

分担しながらカッシーもいくつか回っておりますが、入試問題を採点する先生側の話を聞いていると、どの学校も

「点数をあげたい」

というスタンスであることがよくわかります。


武蔵の「消した跡まで見る」は有名ですね。


つい最近、2、3年ぶりに本郷と鷗友に行きましたが、

本郷の理科の先生は

「書いた漢字が間違えていたとしても(『にすい』が『さんずい』になっていた等)、これを書きたかったんだろうなという意図が伝われば△にして点をあげている」

とおっしゃっていました。


鷗友の算数の先生は

「算数の解答では大学入試で求められるような厳密性は求めていないが、部分点をあげたいので考えたことがわかるように書き残して欲しい」

とおっしゃっていました。


学校としては多くの受験者の中から、学校で行われる授業やテストについていける生徒を、1回のテストだけで正確に選別しなければいけません。

より正確に選別するためには「できなかった」問題に関しても精査する必要があります。

問題に対して手も足も出なかったのか、考え方はしっかりしていたが最後の計算ミスでできなかったのか、前者と後者を同じ0点にしてはかなり荒い選別の仕方と言えます。


生徒の学力を正確に計るために、部分点をあげるというのは学校側にとってもとても大事なことなのです。


しかしそれ以上に、幼い小学生が何年も必死に勉強してきた努力の結果をぶつけてくるわけですから、それに全力で応えたいというのは、当たり前の感情だと思います。

先生からしても自分が教えている学校を

「この学校が好きだから入学したい!」

と言ってくる子供はかわいくて仕方がないはずですから。





さて、このような先生方も説明会では苦言を呈することもあります。

入試報告会などで必ず耳にするのは


「設問の意図を理解していないような答案が多かった」


というような内容です。

このような場合、ほとんどが「合否を分ける問題」、もしくは超難問という程ではないが「正解すればアドバンテージになる問題」で多いです。

設問の意図を理解していないというのはかなり致命的で、この場合まず部分点がもらえません。


例えば武蔵の場合、設問やリード文が読めなければ致命的です。

後期の入試演習クラスでは毎年武蔵の理科を見ていますが、最初の頃は「本当に設問を読んで解いてるんだろうか…?」というような答案がよく見られます。(もう慣れましたが!)

少し具体例を挙げます。


【例①】
「以下のア~エの4つのうち3つは共通した性質を持っています。その性質を持たないものを記号で答えなさい。また、その共通した性質とは何か記述しなさい」

という問題があります。

ア~ウが酸性の水溶液で、エがアルカリ性の水溶液だとしたら

記号:エ
記述:酸性の水溶液である。

が答えになりますが

記号:エ
記述:アルカリ性の水溶液だから。

と書くような生徒がいます。

この生徒は「なぜエを選んだか」の理由を書いているのです。


【例②】
「~という現象はなぜ起こったのですか。この実験でわかることから答えなさい」

という問題があります。

この問題は、現在当たり前のように使われている知識がまだ無かった頃、当時の研究者達がこの実験によって何を知ったのかを、入試問題を通して体験させようとしている問題です。

このような設問にもかかわらず、学校側の意図を無視し、自分の持っている知識をフル活用して好き放題書いている答案もあります。



当然、このような答案を書く生徒に対し、100人中100人の指導員が「問題文をよく読みなさい」と言うでしょう。

もちろんカッシーも言います。

しかし、本当にそれだけで解決する問題なのでしょうか。


ちょっと長くなったので次回に続きます!



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GW中の過ごし方と特別講座

GWに突入しました。

受験生はGWをどう過ごせば良いのでしょうか。


一言で言えば


ゆっくり休んだらいいと思います。


受験生は春休みが来れば春期講習、夏休みがくれば夏期講習、冬休みがくれば冬期講習です。

大変ですよね。

GWくらい家族でどこかへ行って、ゆっくりするのもいいんじゃないかと思います。

もちろんノー勉で良いと言っているわけではなく、自分なりのペースでやれば良いと思います。

ヌルいって言われそうですけれども、カッシーはそう考えています。



近年は6年生のかなり早い段階で志望校別の冠をつけて授業をする大手塾も増えてきました。

どこか1つがやり始めれば他もやらないわけにはいきませんよね。

これは塾経営のやり方としては正しいです。

後期の志望校対策クラスへの他塾生の囲い込みもできますし、単純に講座を設置することで塾の売り上げも増えます。(アントレも見習わなければ!)


一方で、受験生側はどうでしょう。

早くから志望校対策をするということについては良い面もあり悪い面もあると思いますが、カッシーは悪い面の方が大きいように思います。

理由は明白で、塾への依存度を増やすことになるからです。


塾というのは不安産業と言われることがあります。

実際その通りで、我が子の将来(受験の結果)を想う親の気持ちを煽れば煽る程、売り上げを伸ばすことができます。

GWに講座を設置して志望校対策しますよーと言われれば熱心な親は


「もし、この講座で扱った問題が入試で出たら…」

「出ないことで差をつけられたらどうしよう…」


などと考えます。

学力をつけさせたいから受講させるわけではありません。

出ないと不安で怖いから受講させるのです。


多くのご家庭は最終的に志望校に合格させることを目標に、お子様を塾へ通わせています。

ですから「志望校対策」という目標達成のために直接的でわかりやすいものがあれば流されてしまうのは仕方ありません。

こうやって流され続けていくと、塾への依存度が増してしまい、いつしか自分の頭で考えることが少なくなってしまいます。


誤解しないでいただきたいのですが、講座に出ることが悪いことと言っているわけではありません。

出ることで勉強面でのモチベーションだったり、刺激になるという効果もあります。

ただ、その講座に出ることを、塾がどうとか周りがどうとかではなく本人にとって本当に必要なのかをしっかり考えた上で選択したのかということです。


例えば

・基礎学力がスカスカなのに志望校対策をする意味はあるのか?

・最近家族の会話も少なくなってきて、本人にも勉強疲れが目に見えている。その状態でさらにGWまで塾通いさせるのか?


それぞれのご家庭に色んな状況があると思うのですが、それを冷静に考えた上で判断することが大事だと思います。



とはいえ…気持ちはわからなくはありません。

日々面談していると良くわかるのですが、受験生の親は本当に大変だと思います。

塾が全部レールを作ってくれれば、思考停止してそこに乗っかるのが一番楽なんです。

そして、カッシーのように塾をやっている側からすると思考停止してくれている方がよっぽど楽です。



では、なぜこんな記事を書いてしまったのでしょう…。

多分そういう関係があまり好きじゃないからですね。



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プロフィール

カッシー

Author:カッシー
首都圏の中学受験専門塾で教室長をやっております。
中学受験情報、塾内での出来事、雑談等を記事にしていきます。
mail:kassy@sk-antore.com
HP:カッシーが教えている塾
Twitter:@kassy_ant

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