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質問の処理の仕方4

続きです。

例えば6年生の算数教材である四谷大塚の「四科のまとめ」は基本~標準レベルのその分野の核となる問題が並んでいる問題集です。

この1冊が完璧ならば、四谷偏差値60までは取れます。

算数の偏差値が40~55の生徒は、これを個別指導でやるのがとても有効です。(30台ならば白マークの問題だけで良いです)

しかし、現状はそういうオーダーをしてくるご家庭は少ないです。


「四科のまとめなら家でできる」


と、ほとんどのご家庭が考えるからです。

今ちょうど、アントレの生徒達は四科のまとめの小テストをしています。

範囲も狭く、問題は一切ひねらず、数字が変わっただけのテストです。

本当に家で出来ているならほとんどの生徒が満点に近い得点を取るはずですが、現状そうでない生徒が多いです。


「なぜこの子達は四まとの問題も満足に解けていないのに、個別でやらないんだろう…」


と思うのですが、案の定つい先日、個別指導の講師達数人に言われました。


「〇〇くんや〇〇さん、算数や理科の過去問の質問処理をひたすらやっているのですが、これやってる場合なんでしょうか…?」

「いや…本当はやってる場合じゃないんだけど」

「ですよね…」


しかし、ここで勝手に方針転換してしまうと「家で出来るようなことをやるために個別を取ったんじゃない」と言われてしまいます。

でも本当は「君のその問題に対する理解度はまだBだよ」と気づかせてくれている機会を与えてくれているわけで、1人では無理なことをやってくれているわけです。

本当はBがゴールになっていて得点力が不足している生徒にとっては非常に有用なのですが…実力をつけることと満足度を上げることは必ずしも一致しない現実があります。



個別指導の話をしましたが、質問でも同じです。

満足度を上げにいくのか、実力を上げにいくのか。

今はその場の満足度だけを上げにいくようなことは、めっきり減ってしまいました。



【③質問者がその問題をどれだけ粘ってから持ってきたのか。】
【④質問者がその問題の解説を理解しようと努めたのか。】

「この問題がよくわからなかったから質問に持ってきた」

「はいはい、じゃあまず問題読もうか。~で、~すると~」

「あ、そういうことか。わかったかも」

「…カッシー問題を読んだだけなんだが」


このように一緒に問題を読んであげるだけで解決することがよくあります。

最近はそういう空気を感じたら門前払いし、何度か自分で読ませます。


粘っていない問題を教えることほど不毛なことはありません。

大体は教えてから数日後にきれいさっぱり忘れてくれます。


「これってどういう意味なんだろう」と悶々としたり、「ちょっとよくわからないけれども、とりあえず指示された操作をやってみよう」というように粘りに粘ってそれでも解けなくて持ってきたものは、1つ引っ掛かりを外してあげると


「あー、もうわかった。あと自分でやってみたい」


大体こうなります。

そうなると教えてもらったことが一つだけですし、悔しさも相まって記憶に残りやすいです。


しかし、粘りもなく解説を最後まで要求してくるようなタイプは、大体が「ただ解説を聞いて満足したい」だけです。

酷いケースだと、紙に書いた問題だけ持ってきて


「この問題わからないから下(余白)に解説を書いて」


これだけ言ってきます。(失礼ですが転塾組に多い質問の仕方です)

質問内容の多くは授業でやった白板問題だったり、予習シリーズの問題です。

両方ともしっかり解説がついています。


「解説は読んだの?」


と聞くと大体は読んでいないと答えます。


「自分ではどこまで求めたの?」


と聞いても何も出てきません。

こういう生徒は冷たいですが、追い返します。

本当は教えてやりたいのですが、下手に答えてしまうと依存度が高くなり、今まで以上に自分の頭で考えなくなってしまいます。

まずは自分の頭で考える習慣をつけさせたいのです。


ただし


「自分ではここまで求められて、その後ができなくて解説を読んだんだけど、解説のこの部分の式の意味がわからない」


こういう質問には大歓迎で答えます。

しっかり自分の頭を使って考えた形跡があるため、教えた内容が頭に残る可能性が非常に高いからです。

時間があれば、その後最初から全部説明させ、教えた内容を円滑にアウトプットできるかどうかを確かめます。


こうなると、最初から何もわからないような問題は質問に行けないじゃないかと思われるかもしれませんが、質問が具体的なら大丈夫です。


「この図の意味がわからないからどうしようもない」

「問題の内容はわかるんだけど、初手で何をすればいいのかが全く浮かんでこない」


このような質問ならその部分だけ答えます。

そして残りは自分で考えさせます。


他には


「解説のやり方とは違うけれども、自分はこう考えてやってみた。ただ、このやり方だと答えが合わないんだけど、何で?」


こんな質問も最高ですね。

自分の勘違いポイントを直せるチャンスです。解決させれば必ず伸びます。


このように、質問内容はとにかくピンポイントで具体的にです。

それができれば自ら考える力がつき、徐々に質問も減っていくはずです。

質問の多かった生徒の質問の量が減ってくると、伸びはじめの兆候ともとれます。

C→B作業を粘って自力で行える力(理解力、読解力)がついたか、もしくはC→B作業という得点力に直結しない作業が減り、B→A作業に時間を割けているかのどちらかになったからです。




以上で、「質問の処理の仕方」シリーズは終わります。

このように、生徒達が問題に対し日頃どのような追いかけ方をしているのか、質問1つでわかってしまうものです。

ですから子供に対して


「わからなければ質問へ行きなさい」


だけではなく、質問内容の吟味まで一緒に出来るといいですね。

ただ、そうやって一緒に吟味していると、その最中に自力で解決してしまうこと等よくあります。

本当はそれが最高です。

誰かから教えられた「わかった」より、自分で気づいた「わかった」の方がよっぽど価値がありますから。



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質問の処理の仕方3

続きです。

【②質問者が数ヶ月後それを自力で解けるようになるのか。】
ある問題に対する自分の状態を大きく3つに分類してみます。


A:自力で解ける

B:解説を読んで解き方を理解できる

C:解説を読んでも解き方が理解できない


Bの状態で「わかった」となり、それをゴールとしている生徒は、常にフォーカスがCに向きます。

しかし実際にはBをAに引き上げることが得点を伸ばすために最も重要なのであって、CをBにすることではありません。

Bの状態を「わかった」としている生徒(や親)に対してBをAにする指導というのは満足度の低いものとなり、CをBにする指導をすると高い満足度を感じてくれます。


なぜなら「わからないもの」が「わかった」となる方が感動が大きい上に、教えてもらった感が出るからです。

一方で「わかった」ものを「使いこなせる」状態にする作業はとても地味です。


後者は質問で持ってくる類のものではありませんし(質問の最中に問いかけることはありますが)、個別指導でわざわざ教えてもらわなくても1人でやれます。

しかし、1人でやれる生徒はこの問題に対する自分の状態はBであるという認識ができる生徒限定の話です。

実際にはそんな生徒は少数派ですし、AとBの色分けができていない生徒ばかりです。(それが普通です)

この色分けができるできないは算数の能力の問題ではなく、その子の性格や精神年齢の影響が大きいです。


「本当はできていた」

「家で落ち着いてやればできた」

「あのミスが無ければできていた」


こういう発言が多い子はBとAの区別がついていないケースが多く、危険信号です。

同じことを言って子供をかばう親もおりますが、カッシーはあまり良いこととは思いません。(子供に対する優しさから出る発言だとは思うのですが…)

かばうのではなく、子供が「ミスをした」と主張する問題を「まだBなのではないか?」と疑うことが大事です。

それをしっかり覚えておいて、しばらく置いてから同じものを解かせてみて欲しいです。


A、Bの区別として1つわかりやすい例を挙げてみます。

4年生で初めて「つるかめ算」を習った時に以下のような問題が出たとします。


「ツルとカメが合わせて10匹おり、合計の足の本数は26本です。ツルは何匹いますか?」


詳しい説明は省きますが、以下が答えになります。

(4×10-26)÷(4-2)=7匹…答え

しかし、答えを3匹としてしまう生徒が必ず一定数おります。

ちなみに3匹はカメの数です。

すると


「あー、間違えてかめの数を出しちゃったー。ミスったー笑」


と、笑いながら「本当はできていたのに」ということを主張します。

ちなみにこのケースでミスである可能性はほぼ0%です。

つるかめ算の習熟度が低いため、式を立てた後に出てきたものが何だったかがわかっていないのです。

ちなみに6年生にもなれば習熟度が高くなり、単純なつるかめ算で出す方を間違えることはまずありません。


間違えた生徒は

(26-2×10)÷(4-2)=3匹…答え

こう式を立てます。(初めてだとほとんどの生徒が式を分けて書きますが)

間違えた理由としては、おそらく式の形を覚えるのに使った問題が「足の本数が多い方を求めるパターン」だったからでしょう。


他の間違えパターンとしては、正しい式でしっかり7匹と出しているのに

10-7=3匹

という余計な式をつけてしまうものです。(この時点で、「形が正しい式だっただけ」で、本質は全く理解できていないことがわかります)

「最後は引かないといけない」と思い込んでいたり、酷い例になると「少ない方を答えにしないといけない(以前やった問題が少ない方が答えだったから)」と思い込んでいるとそうなります。


さて、ここで算数の力がつくかつかないかの大きな分岐点になります。


(あれ…つるかめ算ってどっちを求めるかで式のパターンが変わってくるのか。まずい、わかってなかった…。というかそもそもなんでこの式でツルが直接出せるんだ?)

となるのか

(全体から引くのを忘れただけで、本当はできていたのに!)

となるのか


後者はAにするチャンスを自ら潰してしまっております。

カメを出せてしまったことで、自分がAの状態にいると錯覚しているのです。

家に帰っても


「最後10から引き忘れちゃってミスったよー」


と報告します。

それを聞けば


「それは惜しかったねー。次は問題をよく読みなさいね」


これで終わってしまいます。

本当に重要な所がぼやけたままテストに突入し、間違えます。

そしてお決まりの文句


「家でやったときはできてたのに…」


残念なことに、こういった生徒の得点が順調に伸びていくことはありません。


先に述べたように、BからAまで詰められるかどうかはその子の性格や精神年齢によるところも大きいです。

これはそうそう変わるものでは無く、そこが詰められない生徒はずっと詰められないままなので、テストで40点近辺しか取れない生徒は範囲が変わってもやはり40点近辺を取り続けます。

80点以上取れる生徒は範囲が変わっても80点以上を取り続けるのです。

多少の上下はありますが、範囲が変わっても上位ランカーが固定化されている原因の多くはここにあります。


詰められない生徒が算数の得点力を伸ばそうと思えば、自分だけでは不可能なAとBの色分けを他人に手伝ってもらいながら、Bを発見してAにする地道な作業をするしかないのです。



まだ②の途中ですが、長くなったので、次に続きます!

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質問の処理の仕方2

続きです。


【①現在の質問者の実力と持ってきた問題のレベルはマッチしているのか。】
生徒のレベルがわかっていれば、必要な問題とそうでない問題の色分けが可能です。

あまり好きではありませんが、わかりやすく偏差値で例えてみることにします。


例えば現在算数の偏差値が50で偏差値60の学校を第一志望にしている生徒がいるとします。

この時期に偏差値50の生徒が偏差値60の学校の問題を解くと、学校の合格ラインにもよりますが大体得点率が40%近辺になります。(合格するには60~70%必要とします)

問題構成は、例えば小問もひっくるめて大問が5問あったとして

1番小問群…難度A
2番小問群…難度B
3番(1)(2)(3)構成…難度C
4番(1)(2)(3)構成…難度D
5番(1)(2)(3)構成…難度E

このようになっているとします。

まずは実際の試験で合格点を取るためのモデルケースを示します。


・難度A、Bである1番2番を完答する。

・難度Cの3番もできれば完答しておきたいが、(1)(2)は最低正解する。

・難度Dの4番が完答できればほぼ合格が決まるが、(1)だけは最低正解する。

・難度Eの5番は題材としてはちんぷんかんぷんだけれども(1)だけは指定された作業をして正解する。


均等配点とすると、これで67%近く取れて合格ラインに到達します。


しかし、現在得点率は40%近辺なわけで、この得点の内訳を示しますと

・1、2番で30%~40%近く落としている。

・3、4番の(1)だけ正解

・5番は手も付けられず


ほぼ全員がこのような形になるはずです。

この生徒が残り数ヵ月で合格ラインまで持っていくには


・1、2番のような難度A、Bレベルの精度を高める。

・標準レベルの問題の大問を完答できる実力をつける。


この2点に注力する必要があります。

オマケとして


・難易度が高い問題でも、(1)は問題文をよく読めば、指定された作業をするだけで解けるケースが多いことを学ぶ。


というのもありますが…まぁこれはいいでしょう。


しかし、質問で持ってくる問題は圧倒的に5番の難度E問題が多いのです。


「(1)はわかったんだけどー」

「(そりゃー、そうだろうね…)」


このような例は、質問に限らず個別指導等でもよく見るケースです。

「過去問のわからなかった所を教えてもらう」という取り方をしている生徒に良くあります。

個別指導の指導員には該当の生徒のレベルと特徴を事前に伝えてあり


「おそらくこういう質問の仕方をしてくるだろうから、いつものようにお願い」


と指示します。

いつものようにというのは、チェックがついている問題(教えて欲しい問題)を教える前に、もっと前にある軽めの問題で危なそうな所を解かせることです。

なぜそのようなことをさせるのかと言いますと、次のような理由があります。


「わからなかった所を教えてもらう」というのは質問する場所以外はわかっているというのが前提になります。


まず、その前提が嘘なのです。


面白い位、ほぼ全員に当てはまります。

実際に本人が「わかっている」としている問題をいくつかピックアップして解かせてみると大体が解けません。

これは無自覚なケースが多く、それが非常に厄介なのです。


「家でやったときはわかってたのに…」


と言い始めます。

これは決して嘘をついているわけではなく(嘘もありますが)、本人が「わかった」という状態を正しく認識していないから起こることです。

この話は、次の②に続いていきます。


ちなみにこのように質問内容と本人の実力にギャップのある生徒は、ええかっこしいの生徒に多いという特徴もあります。

要するに難易度の高いもの(一見高そうなもの)だけを質問することで


「このレベルわからなかった(他はできたけど!)」


ということを暗に主張してきます。

それに主張に何の意味があるのかはわかりませんが、カッシーもええかっこしいの気が少しあるのでなんとなく気持ちは理解できます。

以前どこかの記事で「素直な生徒がよく伸びる」という話を書いた記憶がありますが、まさしく対極です。

そのような生徒に対して「いつものように」やることで、まずその不必要なプライドをズタズタにします。


自分を見つめ直す機会を与えるのです。


そうやって変われるチャンスを少しずつ与えていきます。

変われれば一気に伸びます。

ただ本当は一気に伸びたのではなく、4年、5年の頃の学習で「本当に向き合うべきこと」から目をそらすやり方をしていたので、正しい伸び方をするようになったというのが正しいです。

素直になってありのままの自分を受け入れることが出来れば、あとは本来もっているポテンシャルを発揮するだけで勝手に伸びていきます。


長くなったので、次に続きます!



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質問の処理の仕方1

6年生は過去問を解いていく時期になりました。

第一志望の過去問を解く時だけは目の色が変わるという生徒も多いでしょう。

気持ちの入った勉強をする生徒に対して、我々指導員が何を出来るのかを常に考えております。



この業界に入って2、3年の頃は赤本の質問がジャンジャン来ると、片っ端から受けていました。

「この問題がわからないから教えてー」

ときたら

「はいはい、これはね~」

という風に質問をどんどん処理していました。

その頃はまだ上位クラスを担当していなかったので、上位クラスの生徒が難関校の問題を質問に持ってきて、それをその場で解きながら教えるのも楽しかったですし、何しろ生徒の役に立ってる感じがたまらなく好きでした。

授業直前等で時間の無い時以外は預からずにその場で解決させるので、おそらく生徒の満足度も高かったと思います。


しかし、今考えればほとんど意味の無いことをしていたと思います。

顧客満足度を高めるという点で言えば大きな意味があったと思いますが、生徒の実力を伸ばしたり、得点力をつけさせる指導ではなかったと思います。


なぜ今はそのような指導をやめてしまったのかというと、その頃には見えなかったものが見えるようになり、考えもしなかったことを考えるようになった(なってしまった)からです。

いくつか例を挙げますと

①現在の質問者の実力と持ってきた問題のレベルはマッチしているのか。
②質問者が数ヶ月後それを自力で解けるようになるのか。
③質問者がその問題をどれだけ粘ってから持ってきたのか。
④質問者がその問題の解説を理解しようと努めたのか。


他にもたくさんあります。

これらを見極めるには「4年生頃から生徒を見て、2、3年後に卒業」というサイクルを何度か繰り返す必要があります。

これはどうしても指導暦が浅いと難しいところです。

「勉強を教える」ということに関しては、10年20年教えている指導員よりも優秀な学生講師の方がわかりやすかったり綺麗な解法で解くということも十分ありえます。

しかし、「この生徒が今度どういう成長をしていくのか」という予測に関しては、どうしても経験がものを言います。

過去卒業した生徒の中から似たようなタイプの数人と比較をして、その生徒達がこの時期どういう勉強法をしてどう育っていったのかを考え、先の予測を立てたり修正を加えたりします。

もちろん同じ人間ではありませんから100%予想通りになるわけではありませんが、精度としてはかなり高いものになります。


さて、話を戻して今回は上に挙げた①~④の話を膨らませてみます。


…と思いましたが、長くなりそうなので記事を分けます。

あまり日数を空けずに短い間隔で更新していきますので、よろしくお願いします!


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プロフィール

カッシー

Author:カッシー
首都圏の中学受験専門塾で教室長をやっております。
中学受験情報、塾内での出来事、雑談等を記事にしていきます。
mail:kassy@sk-antore.com
HP:カッシーが教えている塾
Twitter:@kassy_ant

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