FC2ブログ

理科が苦手な生徒達

先日、靴を新調したのですが、デビュー初日に生徒達に踏んだり蹴られたりしたため1日にして年代物感が出てしまいました。

こうなったら自分の靴に墨汁を塗りたくることで、生徒の靴を墨だらけにして仕返ししてやろうかと思いましたが、モノタロウで墨汁をクリックしてカートの中に入れた時、ふと冷静になったのです。


「自分も含めて誰も得しないのでは…床も汚れるし」


カートから墨汁を取り出し、代わりに安全靴を入れました。

理性的な人間で良かったとつくづく思います。





さて、非常にどうでもいい話が終わったところで、理科の勉強のやり方についてのリクエストを頂戴しておりましたので、書いてみます。



理科という科目の難しい所は大きく分けて2つあります。


1つ目は、生物、化学、地学、物理と4分野あり、それぞれにほとんど相関性が無い所です。(良い面でもあります)

例えば算数でしたら、倍数や約数を学べば、分数計算や割合計算の理解の助けになりますし、割合計算ができるようになれば、比を使いこなす助けになります。

平面図形と速さなど、一見関係無さそうなものも、比を使う点で共通事項がありますし、速さでダイヤグラムを描いてから相似形を利用することもあるため、無関係ではありません。

しかし、理科の場合は人体の知識を覚えたところで、天体の原理をつかむ助けには一切ならないのです。


2つ目は、「知識が重要な単元」と「原理の理解が重要な単元」が4分野に混在しており、その色分けができなければ、得意分野と苦手分野に分かれやすくなってしまうところです。


今回はこのテーマについて重点的に話をすることにします。


例えば算数が苦手で社会が得意という多くの生徒は、「何度も反復をして覚える」ということが勉強の手法のベースになっていることが多いので、生物分野などは得意ですが、物理や化学の計算分野になってくると苦手意識を持ちます。

大手塾から転塾してくる生徒はこの傾向が強いです。(もちろん良い面もあります)



つい先日、5年生で「電気」の学習をしました。

導入部分では基本回路の説明をします。

おそらくどの塾でもやるでしょう。


「豆電球1つに乾電池1つの回路に流れる電流を1とする」


というところから始めて、豆電球、乾電池それぞれを1個、直列、並列の3パターンずつに分け、3×3=9通りの回路を示します。

そしてその9通りの回路に流れる電流の大きさの数字を書き込んでいくのです。

ここで最も大事なことは、数字を覚えることではなく、数字を導くための作業手順を覚えることです。

どうやってその数字を導き出すのかの手順さえ頭に入れてしまえば、あとはその手順通りに行うだけで、全ての回路の数字を求めることができます。


しかし、電気が苦手な生徒はほぼ確実に数字を覚えにいこうとします。


頭を使うのが面倒なのか、作業手順を聞いていなかったのか、「9通りしかないので覚えられる」と思うのか、理由はそれぞれだとは思いますが、とにかく数字を覚えこみに走るのです。


実はこの最初のアプローチが重要な分かれ目になります。

数字を覚えこみに走った瞬間、もう頭は動いていないのです。

頭が動いていないのですから、イメージがわくこともありませんし、原理を理解できるわけがありません。

そして回路が複雑になり基本パターンから外れた瞬間に、何もわからなくなります。

その時にこう思うのです。


自分は電気が苦手だ


そして恐ろしいことに、一週間経って次の単元が始まるとせっかく覚えた数字も忘れます。

電流が2だったか1/2分だったか曖昧になり、朧げな記憶を手繰り寄せながら自己流に走り、間違った答えを書いてしまうのです。


彼らがやっていることは2ケタ×2ケタの掛け算を習う時に、15×17=255という式と数字を暗記しようとしているのと同じです。

「2ケタ×2ケタの筆算の手順」を覚えるのではなく、例題で出てきた数字を暗記しているのです。

もちろんこの例ではそんな学習をする生徒はほぼ皆無だとわかりますが、電気の場合はその冗談みたいな学習法がまかり通っているのです。(もはや勉強ですらありませんが)



原理や作業手順を理解することが好きな生徒ならば理科の成績が良いのかというと、そうでもないこともあります。(もちろん必要条件ではあります)

その性格が強すぎると、単純暗記を面倒くさがる傾向があります。

なぜなら彼らからすれば


「ちょっとしたルールさえ理解すれば、どんな問題でもその場で頭を使えば解ける」


から取り組むのが楽しいのであり、やっていることはゲームとほとんど同じです。

「Aボタンでジャンプができ、Bボタンでダッシュができて、十字キーでヒゲのおっさんが動く」という単純なルールのゲームだからこそ、それらを駆使して色々考えながらギミックを攻略していく楽しさがあるのです。


「この崖どうやって越えるの?」

「Bダッシュとジャンプ組み合わせれば越えられるんじゃない?」

「そっか、やってみる」


という会話と


「この回路はどう解くの?」

「この作業とこの作業を組み合わせればできるんじゃない?」

「そっか、やってみる」


という会話は本質的には同じです。


つまり作業を覚えようとするのは、ゲームに参加するために必須だからやれるのです。


しかし、ただの暗記作業は、基本的には暗記をすることで完結してしまいます。

エンドウのおしべの本数を覚えたところで、それを何かに使うことはありません。

説明書に「Bボタンでダッシュができる」と書かれていたところで、ゲーム本体を持っていなければ細かな操作をいちいち覚えたりしません。


ですから、単純知識を嫌がる子が暗記作業をしようと思ったら、理由付けが必要になります。


カッシーの授業では「早押し」というゲームをします。

チーム戦形式にして、クイズの早押し形式で競わせるのです。

テンポとスピード感が重要でして、10分あれば50問近く回せます。

多くの生徒達はここで活躍するために、単純知識でもしっかり覚えくれます。


もちろんテストで点を取るため、順位を上げるため、クラスを上げるため、とそれぞれ違ったモチベーションで覚える生徒もおりますが、あまりそういったことを気にしない幼いタイプの生徒でも、なぜだかここで活躍したいようです。

このように、何かしらの動機付けが必要なのかもしれません。



いつものように、ダラダラと長くなってしまったのでまとめます。


・分野を色分けし、勉強法を変えること。

・原理や作業手順の理解必要な単元では、単純な暗記作業に走らず、手法を理解してから演習を繰り返すこと。

・暗記作業が重要な単元では、反復して覚えるための動機付けをしてあげること。


以上に気を付けて学習してみて下さい。

参考になったら幸いです。



↓また次も読んでみたいという方は、更新のモチベーションになるため、クリックで応援よろしくお願いします!
にほんブログ村 受験ブログ 中学受験(指導・勉強法)へ



テーマ : 中学受験
ジャンル : 学校・教育

なぜ模試の算数は参考にならないのか

6年生は模試ラッシュですね。

志望校別等も受けている方は毎週のように模試…模試…模試…。

今回は何度かお伝えしているテーマですが、また少し触れたいと思います。



模試というのは色んな学力レベルの生徒が受けるため、算数の問題では易しい問題から難しい問題が並んでいます。

例えば問題が10問あったとして以下のように難易度が決まっています。

1問目の難易度は1
2問目の難易度は2



10問目の難易度は10

必ずしもこうではありませんが、わかりやすくすると、このように作られているのです。

話を単純にするために100点満点として話をします。(多くの模試は150点満点ですが)

Aくんの算数の学力を4とすると、1~4問目が正解するので単純計算で40点
Bくんの算数の学力を6とすると、1~6問目が正解するので単純計算で60点

こうなります。



一方、入試問題というのは狭い学力帯の生徒を正確に振り分けるために作られています。

例えば偏差値50の学校の受験生は学力4~6近辺の生徒が多いため、この生徒達を振り分けなければいけません。

当然学校としてはなるべく学力6の生徒を入学させたいわけです。


さて、ここでどう作問するかを考えます。

難易度1~4を出題すればほぼ全員が解けてしまい、7~10の問題はほぼ全員が解けません。

学校としてはこれらの問題を出題しても、振り分けができないので、多くの問題を難易度5と6にします。

そうすることで学力4の生徒を確実に不合格にし、学力6の生徒を多く合格させることができます。


すると

【模試の場合】
Aくん→40点 Bくん→60点 得点差20点

【入試の場合】
Aくん→0点 Bくん→100点 得点差100点

こうなります。(かなり極端ですね!)



実際には、偏差値50近辺でしたら、入試問題にも計算問題や軽めの一行問題が入っているので全てが難易度5、6ではありません。

もう少しリアルな数字に寄せますと、実際の入試では難易度1~4が4割程度、5、6が5割程度、7以上が1割となります。(学校にもよりますが)

これでも学力4の生徒は40点、学力5の生徒は65点、学力6の生徒は90点になり、大きな差が生まれます。

学力4と6の生徒の得点差は模試では20点差、実際の入試では50点差となります。



算数に強いアントレの生徒達が模試の偏差値は低いのに(失礼!)、模試の判定で出る確率以上に合格したり、学校別模試の方が成績が良いのはこのような仕組みになっています。

ですから、アントレで模試の偏差値を成績の参考にしている指導員はほとんどおりません。

ほぼ全員が「授業での達成度」、「土曜日の入試演習クラスの結果」、「家での過去問の結果」これらを参考にしています。


では、なぜ受けさせるのかというと、受けさせないと保護者が不安になるからです。(ほぼそれだけです)


「それだけなら受ける意味ないじゃん…」


と思うかもしれませんが(個人的には十分な理由だと思います)、そんなことはありません。

模試に関しては最重要科目である算数の振り分け機能が働いていないため、結果として4科トータルの信頼性が低く、判定を参考にしていないというだけです。

教科単体で見た場合、例えば理社などはしっかりその生徒の実力を振り分けるテストになっていると思います。(武蔵などの学校に対しては、国理社も参考になりませんが)



これは予想になってしまいますが、大手塾で偏差値が低く下のクラスなのに「まさかの合格」となる子は算数の力がある子です。

算数でワンランク上の問題も解けるのに、模試での4科トータルの成績が低く下のクラスに配属されているだけで、そういう子でも本番の算数で実力が出せれば、他教科で多少マイナスでも合格してしまいます。(ちなみにこのような生徒はアントレではすぐ上のクラスに案内してしまいます。)

逆に、上のクラスなのに「まさかの不合格」となる子はおそらく国理社で得点を稼いでいた子です。

算数で失敗してしまった場合、得点差のつきにくい国理社では挽回するのが難しいからです。


大手塾に所属していて「模試で高い偏差値を取りたい」とか「より上位のクラスに入りたい」と思うのならば、低学年のうちから算数以外の教科を必死にやることをオススメします。

努力というコストに対する模試での得点上昇のパフォーマンスがとても高いからです。

しかし、志望校の入試問題を見て「算数が結構難しいな…」と思うようでしたら、4、5年のうちに算数を必死にやって下さい。

道中での4科トータルの偏差値は伸びませんし、上のクラスへ上がれないかもしれませんが、それでもです。

6年の後期になると過去問演習が始まります。

算数の下地の無いところで必死に過去問演習をしても、どうしても積み上げに限界が出てしまいます。

算数というのは覚えたらすぐに解けるような科目と違い、理解し使いこなせるようになるための熟成期間が必要なため、後追いで何とかするのがとても難しいのです。

国語はともかく理社でしたら後追いでもなんとかなる部分が大きく、結果的に何とかならなかったとしても算数程の大打撃にはなりません。



というわけで、模試の算数についてダラダラと書いてみました。

別に大手塾の模試の質が悪いわけではなく(むしろ良いものを作っていると思います)、こればっかりはどうしようもないです。

受ける側がその辺りをしっかりわかっていれば、ある程度は冷静に数字を見ることができるのではないかと思います。



ある程度はですが。



↓また次も読んでみたいという方は、更新のモチベーションになるため、クリックで応援よろしくお願いします!
にほんブログ村 受験ブログ 中学受験(指導・勉強法)へ



テーマ : 中学受験
ジャンル : 学校・教育

プロフィール

カッシー

Author:カッシー
首都圏の中学受験専門塾で教室長をやっております。
中学受験情報、塾内での出来事、雑談等を記事にしていきます。
mail:kassy@sk-antore.com
HP:カッシーが教えている塾
Twitter:@kassy_ant

最新記事
カレンダー
09 | 2018/10 | 11
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
ランキング
応援していただけたら嬉しいです。
にほんブログ村 受験ブログ 中学受験(指導・勉強法)へ


メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR