設問の意図を理解できない生徒達2

続きです。


さて、何かを学ぶ時には、「聴く」「読む」「触る」等、基本的に五感を使うことが多いですよね。

この中で、受験生が最も多く使用するものと言えば、おそらく「読む」になります。

教科書や参考書を読むだけではなく、実際に問題を解く時にもまずは問題を読まないと始まりません。

試験中は誰も音読してくれませんし、書いてある言葉の意味も説明してくれません。(難しい言葉が出たら註がつきますが、その註も読んで理解しなければいけません)

つまり、「読む」ということは非常に重要なわけです。



子供が家で勉強している時に、テキストやノートを読んで勉強している姿を見たとします。


「しっかり勉強頑張っているね」


と思うわけですが、読んでいる内容を本当に理解しているかどうかは誰にもわかりません。(本人でさえも)


もし、読んでいる内容が理解できていないとすると、本人は書いてある文字をただ目で追っているだけで、ほとんど成長していません。

理解できていないだけならまだしも、自分の好きなように勝手に解釈して理解したふりをしているとなると、さらに修正するのが大変になります。(この作業も1つの勉強とも言えますが…)


「これだけ勉強しているのに…なんでできないの…」


と嘆く保護者も多いとは思いますが、おそらく読んだ量に対して理解できている内容が少ないからというのは最も多い原因の1つでしょう。


最近、こんな本を読みました。

AI vs. 教科書が読めない子どもたち


全体的に楽しく読めた本でしたが、人によっては1、2章は興味が持てないかもしれません。

教育関係者や保護者の方には3章だけで良いので読んでみて欲しいです。

3章の中にこんな問題がありました。


「Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。」

Alexandraの愛称は(   )である。

①Alex  ②Alexander  ③男性  ④女性



「」内の一文を読んで、その内容に合うように答えるだけです。

ちなみにこの文章は中学の英語の教科書に出てくる「Alex」という単語の註に書いてある文をそのまま使ったようです。

当然正解は①なのですが(本文にそう書いてあるので)、とある公立中学(本には学校名も記載)に通う一年生の結果は以下のようになったようです。

①23%  ②12%  ③16%  ④49%


全員がでたらめに選んでも25%になるはずですが、それを下回っている時点でかなり大変な事態と言えます。

4択という特性上、実際には23%よりもっと低い割合の生徒しかこの一文の意味が理解できていなかったわけです。


なぜ半数の生徒が④を選んだのかというのを、この本では「愛称」という単語の意味を知らないことが原因と予想していました。

知らない単語は飛ばして読むという読みの習性がある生徒は()内に「女性」と入れれば


Alexandraは女性である。


となり意味が通るからだそうです。


なるほど…確かに。



国語の先生達も、おそらくそういう風に分析するのでしょうね。


しかし、カッシーの意見は違います。


「Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもある。」


この文章は読点で3つに区切られておりますが、二番目の節には「女性」「Alexandra」「愛称」の3つの単語が並んでいます。

そこで設問を見てみましょう。


Alexandraの愛称は(   )である。


「Alexandra」「愛称」の2つの単語があります。

あれ、あと1つ足りませんね。





「女性」を入れればしっくりくるなぁ


おそらく、こうじゃないかと思うんです。


「愛称」という単語を知らないからという語彙力不足の問題ではなく、助詞を追いかけていく体力が無いことが原因だと考えます。

詳しく述べると、「愛称」という単語を飛ばして読めば答えが意味の通る文になるからではなく、本文の「助詞」を飛ばして単語だけを追いかけて読んでしまったため、「Alexは」という主語が二番目の節の先頭から省略されていることなど気にも留めなかったから間違えたのです。

賭けても良いですが、意味をそのままにしてこの文章を以下のように書き換えたら、正答率は相当上がるはずです。


「Alexは女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名Alexanderの愛称でもあり、男性にも女性にも使われる名前である」

Alexandraの愛称は(   )である。

①Alex  ②Alexander  ③男性  ④女性



そもそも、どうしてこのような単語読みを始めてしまったのでしょうか。

それはもしかしたら「『愛称』という単語を知らなかったこと」がトリガーになって丁寧に読む気力を無くしてしまったからかもしれませんし、それ以前にそのような読み方しか元々出来ない子だったからかもしれません。

いずれにせよ、悲しい現実です。

何か対処法はあるのでしょうか?


この問題ですが、実は高校2年生になると正答率が68%まで上がります。

これを「上がって良かった」と喜ぶのか、「高2で32%も間違えるのか」と悲しむのかはとりあえず置いておくとして、原因は何であれ、月日が経てばなぜか読めるようになっているわけです。

もし、読解力について相談をされたら


「今は読めなくても、大人になれば読めますから心配しなくて大丈夫です。ちゃんと立派な大人になれますよ。」


とニッコリ微笑めば全て解決


しませんね!


どうにかして期限(受験)までに読めるようにしたいわけです。

それどころか勉強効率を上げるためにはもっともっと前(できれば今すぐ)に読めるようにしたいわけです。

実際にはそれができたらみんな苦労しないわけでして、この本にも「どのようにしたら読めるようになるのか」が書いてありませんし、まだわからないと書いてあります。



しかし、教育関係者や親はこのような現実を理解しなければいけないと思います。

大人が思っている以上に子供は読めていないのです。

読めていないことを本人が自覚するのはとても難しく(④を選んだ生徒はきっと自信があったはずです)、1人では中々気づけません。

問題形式になっていれば気づきやすいのですが、どこがどう不正解だったのかを今度は「解説を読む」ことで理解しなければいけません。

読めないから出来ていないのに、「これを読め」と言って解決法を提示するわけですね。

そうなると本人だけでは到底無理なので、当然親のサポートが必要になってきます。

サポートの仕方はそれぞれご家庭の環境が違いますし、子供の性格や読解力にも差があるため、一概には言えません。

そんな時のために我々指導員がおりますので、いつでも相談に来てください。



長くなりましたが、これで終わります。



AI vs. 教科書が読めない子どもたち
新井 紀子
東洋経済新報社
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